
暑くなって汗をよくかく季節になると、心配なのが塩分不足です。塩の摂りすぎはよくないというのは常識になっていますが、暑い季節は減塩のしすぎも考えもの。塩の摂取について、どうすべきか一緒に考えてみましょう。

減塩の目標値は、世界的にもまちまちです。厚生労働省では、男性で1日7.5g、女性で6.5gを推奨していますが、WHO(世界保健機関)では5g。ただし、この目標値を達成するのはかなり難しく、実際に2019年国民健康・栄養調査(厚生労働省調べ)によると、日本人の食塩摂取量の平均は1日男性で10.1g、女性で9.3gでした。
目標値より多くの塩分を摂っていますが、日本の高血圧患者数はゆるやかながら減少傾向がみられます。2020年の患者調査(厚生労働省調べ)では、高血圧性疾患の推計患者数は598.8千人で2017年の調査よりも53.7千人少なくなりました。その他、1987年当時、旧厚生省では血圧180/100mmHgを高血圧の基準としていましたが、2000年には140/90mmHgの基準が示されています。減塩や高血圧の基準については、医療業界でももっと厳しくすべき、今の基準は厳しすぎる、とまったく逆の意見も聞かれます。

日本人は昔から、味噌、醤油、漬物など、塩気のある食文化に慣れ親しんできました。にもかかわらず、日本は世界的にみても長寿国です。塩分をたっぷり摂っていても健康的に問題ないとも考えられますが、昔と今では、塩の質が違います。
古来、日本人が摂ってきた塩は、海水を「天日干」または「平釜」で煮詰めて作られたもの。こうして作られた塩は天然塩(自然塩)といわれ、マグネシウム、カルシウム、カリウムといったミネラル成分が豊富に含まれています。一方、精製塩や食塩として売られているものは、「溶解」、「イオン膜」、「立釜」などの製造過程によって、塩本来のミネラル成分が失われています。そこに、にがり等を添加したのが、再生加工塩となります。同じ塩分でも、天然塩で調理した食事ならバランスよくミネラルを摂れるため、健康状態が保ちやすいと考えられます。天然塩の価格はやや高めですが、予防医療につながると思えば、それほど贅沢なものではないはずです。

汗をよくかく季節は、減塩に力を入れるよりも、水分補給はもちろんミネラル補給を心がけてみませんか。ミネラルウォーターや麦茶、塩飴などで、しっかりミネラルや塩分を補いたいものです。
普段の生活でも、減塩によって朝起きられなかったり、ボーッとしたりといった違和感がある場合は、天然塩を適切に摂るようにしてみましょう。一人ひとり身長や体型が違うように、塩分の必要量も生活スタイルや体質によって一定ではないはずです。自分の体調や感覚を感じとりながら、適した塩の摂取について考えていきたいですね。
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