お金に困らないための〜税金の相続対策
お金に困らないための〜税金の相続対策
文書作成日:2022/09/05


 退職金を受け取る場合には通常は所得税がかかりますが、相続人が受け取る死亡退職金は、非課税枠を超える部分について、相続税の課税対象となります。




 50代の父が先月亡くなりました。残された家族は、母と私の2人です。
 父が勤務していた会社から、死亡退職金として3,000万円が配偶者である母に支給されました。この退職金からは税金が引かれていないようなのですが、税の取扱いはどのようになるのでしょうか?




 遺族が受け取る死亡退職金は、相続税が課税されます。但し、相続人が取得した場合には非課税枠があり、「500万円×法定相続人の数」までは、相続税がかかりません。


1.退職金の税務上の取扱い

 退職金は、一般的にはご本人が生存中に受け取られる場合が多く、この場合には受取人となる退職者本人に対して所得税や住民税が課税されます。しかし、ご相談のように亡くなられた方(以下、被相続人)のご遺族に支払われる死亡退職金等については、受取人となるご遺族あるいは退職者である被相続人に対して所得税や住民税は課税されません。その代わりに、“みなし相続財産”として相続税が課税されることとなります。この場合の死亡退職金等とは、被相続人の死亡によって、被相続人に支給されるべきであった退職手当金、功労金その他受け取る名目に関わらず、実質的に被相続人の退職手当金等として支給される金品をいい、現物で支給されたものも含まれます。

2.死亡退職金等の相続税の非課税枠

 相続人が死亡退職金等を受け取った場合には、次の非課税枠まで相続税を課税しない、という制度が設けられています。

相続税における死亡退職金等の非課税枠:
500万円×法定相続人の数(※)
(※)相続の放棄があった場合には、なかったものとした場合の相続人の数

 つまり、相続人以外の方である場合や、もともと相続人であったとしてもその相続を放棄した方などが受け取った場合には、この非課税枠は利用できません。

 ご相談の場合は、相続人であるお母様が受取人であることから、この非課税枠が利用できます。具体的には、法定相続人はお母様とご相談者様の2人ですので、次の課税対象の額が相続税の課税対象となる死亡退職金等となります。

  1. 死亡退職金 3,000万円
  2. 非課税枠  1,000万円(500万円×2人)
  3. 課税対象  2,000万円

 なお、死亡退職金等であっても、支給される金額が被相続人の死亡後3年経過後に確定したものは、相続税ではなく死亡退職金等を受け取った人に対して所得税や住民税が課税されます。ご留意ください。


<参考>
 国税庁HP「No.4117 相続税の課税対象になる死亡退職金


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